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小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇 ブログトップ
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みっともなさがスゴイぞ、ソードテールの稚魚は! [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

ソードテールの稚魚。
これがもうかなりスゴイのだ。
なにしろ小さい。
生まれたばかりのソードテールの稚魚は、よほど目を凝らさないと水槽の中で探すのが難しいほどなのに、ああそれなのに、目はしっかりでかい。
現実は目が体よりも大きいわけはないはずなのに、目の方が大きそうに見えるのだ、体より。
目がわずかなわずかな大きさの尻尾を引っ張っているような感じなのだよ。
そんな姿の稚魚がみっともないくらい可愛いからどうしようもない。
見失ったらなかなか見つからないくらいの可愛さだから、見つけるとついついしばらく見入ってしまいのだ、かなり困ったことに。

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ソードテールの稚魚がいっぱい。 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

どうも水槽の中が明るいと思ったら、稚魚がいっぱい泳いでいる。
ソードテールの稚魚だ。

ソードテール。
「剣の尻尾」という意味となる。
勇ましい名前だ。
確かに雄の尾はすうっと長く細く伸び、美しくシェイプされた細身の長剣を髣髴させる。
凛々しく、引き締まった美を湛えた姿だ。

が、どこかヘンだぞ。
ん?どこが?
凛々しいだけじゃない。
どうにもオボコいんだ、大人のソードテールもさ。
目が大きく丸い。
「ソードテール」という名に相応しくなくつぶらな瞳をしている。
だから大人のソードテールでも、どうにも愛嬌たっぷりなんだ。

大人でもそうなのだから、ソードテールの稚魚ともなると、これがどうにも困ってしまう。

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スマトラのいない水中 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

スマトラは二匹いた。
一匹死んで、残されたスマトラも最近死んだ。
熱帯魚を何種類か飼っていると、それぞれ自分たちのテリトリーを見つけて、ほぼいつも決まった場所にいるようになる。
スマトラは水槽のやや上部。
いつもプカプカ浮いていた。

そのスマトラが、今はいない。
つい最近までスマトラがいた場所は、きっと今でも微生物などがうようよいるのだろうけど、肉眼では何も見えない。
何も見えないのが不思議で少し寂しいという不思議。
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残されたスマトラの孤独かもしれない様子 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

スマトラが一匹死んでから数日後、もう一匹いるスマトラはやはり寂しそうに見える。
と言っても、スマトラはどちらがどちらか分かりにくかった。
コリドラスなんかだと、数匹いてもはっきりと個性が出ているのだけれど。

一匹残されたスマトラは斜め下を向き、何をするでもなくプカリプカリと水の中にいる。
その動作はスマトラ特有の動作で、別に仲間がいなくなったからしているわけではないけれど、やはり前より寂しそうに見えてしまう。

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ムッとしたスマトラの死 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

わたしが書いていない間も、もちろん熱帯魚たちは生きているのだ。
しかし全部ではない。
スマトラが一匹死んだ。
縦の縞。
ムッとした表情。
緩慢な動き。
スマトラはどちらかと言えば、感情移入しにくい魚だ。
だから死ぬ直前も、「死にそうだ」とは気づかなかった。
ひょっとして我慢していたのだろうか。
そんな気もしている。
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知識と経験と熱帯魚 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

知識と経験と熱帯魚

それでも最近はあまり魚たちが死ぬことはなかった。
「なかった」というか、死ぬことはない、最近はあまり。
魚を飼うのにも慣れてきたのだろう。
どんなことでも知識だけでなく経験が必要とされる。
知識だけでなく。
そもそもぼくのかつての知識では、熱帯魚の死を哀しむなど思いもよらないことだったのだから。

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あるソードテールの死 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

一匹のソードテールが死んだ。
しばらく前から体調を崩していたメスのソードテールだ。
水槽の半分より上を泳いでいることの多かったソードテールが、ほとんど底に留まっているようになっていた。
きれいなだいだい色だった体はところどころ白くなり、尾びれや背びれも欠損が目立つようになる。
体全体も不健康に肉が付いていた。
それは老化だったのだろうか、それとも何かの病気だったのだろうか。
小さな魚一つの死でも、それを見るのは哀しい。
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グッピーのサリー [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

ぼくはグッピーに名前をつけてみた。
サリー、太郎、ミシェル、オデオン・・。
名前をつける間にもグッピーの群れは動きまわる。
サリーと太郎とミシェルとオデオンがごちゃまぜになる。

(全部一度に名をつけるから悪いんだ)
そう気づいたぼくはサリーだけに集中してみる。
サリー、君がサリーだ。
ちょっと翳のある目、他の仲間よりやや短い尾びれ、シャイなみのこなし。
君をしっかり覚え、他のグッピーにもきちんと名をつけるんだ。
そして胸に刻んだ、サリーの姿と性格。

翌日にはどのグッピーか分からなくなったけど。

その後ぼくは、一度もグッピーに名をつけようとしていない。

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グッピー飼育に名前 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

かつてぼくはグッピーに名前をつけようとしたことがある。
そのときグッピーは何匹いたろう。
20匹?30匹?40匹?
グッピーは群れて泳ぐ。
じっとしていることはない。
じっとしているグッピー?
そんなの見たことある?
なぜこんなに動き回っていられるの?
そんなに思えてしまうのがグッピーの属性。
しかも個性に欠ける。
たとえばコリドラスなんかだと、けっこう個性的なんだ。
だいたい底で止まっているし。
グッピーは、
色が同じならどれも同じに見える。
動きが速い、落ち着かない。
そしていつも群れている。
そんなグッピーたちに、ぼくは名前をつけようとしたんだ。

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小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇 24 死の日 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

しばらくソードテールは他のどの魚とも交わらない場所、ほとんどすべての時間を水底の隅で過ごす。
体色は白い部分が多くなり、目にはだいだい色の部分が多くなる。
ときどき小さなコリドラスが彼女を窺っていたようにも見えたが、それはもちろん人間の思い込みだろう。
でも魚が他の魚を心配するなんてことはあり得ないことじゃない。

ある朝、ソードテールは体を水底に横たえていた。
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