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実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の ブログトップ
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末尾ルコ実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]



「よっしゃ、ちょっと出てみようか」  意を決し、息子に声をかけて立ち上がろうとする。 「あ、待ちや、俺が出てみらあ」  母を制し、奴は「うんしょ」と言いながら立ち上がり、居間のすぐ側の玄関へ向かう。 「はじめはちょっとだけ開けよ!」  声を潜めながら叫んだ真奈子のアドバイスを背に、玄関に向かって「はい!はい!」とやや威圧的な応答をしながら、ロックを回し、一〇センチほどドアに隙間を作るとそこには「どこかで見た顔」があり、その上に「真っ赤な唇」がぱっくりと開いていた。 「えっ?」

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末尾ルコ実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]

末尾ルコ実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」

「うるさいにゃあ!」  声は最小ながらも、奴の口調は怒声となってくる。 「そうやねえ」  眉を顰めながら、真奈子は壁に並べて貼ってある柴田勝頼と内藤哲也のポスターに流し目を贈った。写真の内藤は片目を指で開き、ふてぶてしく上方を見ている。こむさいルックスは好みではないが、その「制御不能ぶり」は真奈子にとって心地いい。内藤を見ていると、確かに何かしら気分は高揚する。 ダーン!  ダーン!  ダーン!  ノックと言うよりもしつこい打撃は止む気配がない。このままにしてはおけず、「制御不能男」を眺めて血の巡りもよくなった。適度な膨らみを持った胸を見下ろせば、そう、「KING OF SPORTS」と記されていることを忘れてはならない。
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末尾ルコ実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]

末尾ルコ実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」

「ちょっと・・・すぐ出ん方がえいがやない?」
 どうにも判断をつけることができず、真奈子は息子に曖昧な言葉をかける。
 ダンダンダン!
 ダンダンダン!
 ダンダンダン!
 ダンダンダン!
 ダンダンダン!
 ダンダンダン!
 ダーン!
 ダーン!
 ダーン!

 やり過ごそうとしても打撃の音は大きくくどくなるばかりだ。そもそも道からも見えている居間の照明はギンギンに点いているし、テレビを見ていることも感ずかれている可能性が高く、居留守になっていない。

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末尾ルコ実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]

 ダン!ダン!  ダン!ダン!  ダンダンダン! 「何、あれ?」  強くなる一方のノックの音に、母子は何らかの判断を迫られる。出るべきか、無視し続けるべきか、それとも・・・。 「さっきの人殺し女やないろうねえ」  最小限までボリュームを絞った声で対応を打診し合う。部屋の空間が暗闇を増し、二人の周囲が楕円形に収縮する。
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末尾ルコ実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]

tyle="color:#00FFFF;">「アホウ、止めちょき!」  声を潜めながらも強く息子を止める。 「ヤバい人と目が合うたらどうするで!」 「ああ・・・目が合うたらいややにゃあ。けんどあの声、若い女やろう?」 「ああ、そんな感じやねえ」  会話を続けている内に声は西の方へ進んで行き、徐々に小さくなっていく。微かな声の「人を殺したよお!人を殺したよお!」を確かめながら、二人は(もうそろそろかな)と目で合図する。その時、玄関を叩く音が響いた。  ダン!ダン!!  二人一緒に心臓が撥ねた、身体もビクついた。
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「この半魚人のおばさんて偉いがかえ?」 「ああ、まあ安倍に気に入られちゅうみたいやねえ。何?半魚人?深海魚やなかった?」 「ありゃ、無意識に半魚人言うちょったよ。こりゃ何かが言わせたがやねえ」 「ははは。あんたに高市早苗を半魚人と言わせる誰かって誰ながよ!」 「そういや、そうやねえ、やっぱ、神やろうか」 「神?キリスト様かえ?」  その時、通りから女の声が入ってきた。 「人を殺したよお!人を殺したよお!」  二人は顔を見合わせる。 「人を殺したよお!人を殺したよお!」  声は東の方角からだんだん沢田母子の住む家へ近づいてくる。 「人を殺したよお!人を殺したよお!」  ほぼ家の前に来たようだ。  奴はごくりと唾を呑み、 「見てみる?」  と母に問い掛ける。
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末尾ルコの実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]

真奈子は息子の横顔を眺めた。何も手を加えていない髪に軽くウェーヴがかかっていていつもながら綺麗だ。奴は確かに綺麗だ。横顔も適度に鼻筋が通っているし、一七五センチのしなやかな肢体は少なくとも「十八歳まで」の男にしか存在しない青臭い萱の細さとちょっとした危険性を表現している。そしてもちろんそれは、十代の精液の薫りでもある。
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「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]

「ははは。ほんならどういう顔で?」 「それを言おうとしちょったがよ。なんかこのおばさん、深海魚に似いてない?」 「ええ?はあ・・・深海魚かえ?そう言うたらそんなテイストもあるかねえ」 「見てみいや、この不気味な笑い・・・」  確かに画面の高市早苗は笑顔を浮かべている。どよんと長めの顔、たっぷりと大きな口・・・言われてみれば、深海魚に見えて来なくもない。 「はあ、そうやねえ、深海魚じゃ、この女」 「やろう、妙にさっきから引っ掛かるがよ」 「え?引っ掛かるって、何か?」 「いや、何かねえ、このおばさんの深海魚ぶりが、どうも引っ掛かるがよ」 「はあ~」

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今夜はそうではなかったようだ。 「ん?何?」  息子が声をかけていることにやっと気づいた母親はすぐに卓袱台上のPCを閉じて「KING OF SPORTS」Tシャツ上半身だけを斜め後ろに向けた。 「ありゃ、何か隠したがやないが?何見よったがでえ」 「まあまあ、ええわえ。あんた何か呼んだろうがね」 「ああ、いや、あ、出た出た。このおばさんよ」 「ああ、こりゃあ高市やろう」  奴が観ていたのはNHK「ニュースウォッチ」で、画面に映っているのは安倍晋三首相とその横でいつもの薄笑いを浮かべている高市早苗総務大臣だ。 「ああ、高市早苗いうが。早苗っちゅう顔やないね」
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実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の奴と真奈子」 [実験小説「クズは死ね!愛する者は生きよ! 高知の]

「このおばさん魚っぽいねえ」  沢田奴はテレビ部屋で母に語りかけたが、真奈子はlenovoの画面から目を離さない。 「深海魚っぽいがよにゃあ」  今度は独り言のように言う。  一階の窓からは月も夜空も見えない。  小さな通りを挟んで存在する家だけが見える。  沢田母子は住む古びた二階一戸建て貸家よりボロッちい家は、少なくとも前後左右四、五軒のの中にはない。 「また柴田かえ?」  真奈子の大きな情熱の一つが格闘技プロレス観戦であり、二〇一六年三月現在、一番の贔屓が新日本プロレスの柴田勝頼だ。他にも気に入りのファイターは多くいるし、時期によって「最高の贔屓」は変わったりもするけれど、「今」は柴田勝頼なのである。しかし今夜はそうではなかったようだ。
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